社員の飲食「取材費」処理
出版大手「集英社」(東京都千代田区)が東京国税局の税務調査を受け、2008年5月期までの5年間に計約5億円の所得隠しを指摘されていたことがわかった。重加算税と過少申告加算税を含めた追徴税額は約2億円に上り、同社は指摘に従って修正申告に応じ、納付を済ませたという。
租税特別措置法施行令によると、出版社の場合、編集のための座談会や取材に要する支出について費用計上を認められており、各社では、作家や漫画家らと担当編集者との間で著作に関する打ち合わせを行った際の飲食については「取材費」として経費処理している。
しかし、関係者によると、東京国税局の税務調査や集英社の社内調査で、編集者など社員と作家らが集まって居酒屋など飲食店で行ったとされる打ち合わせの中に、作家らが同席した事実のないものが大量に含まれていることが判明。取材・編集業務に絡む支出に当たらないとして、同局に「交際費」と認定され、重加算税の対象となったという。
また、作家らの取材旅行のために支出した費用の中に、作家の家族が同伴するなど私的な意味合いが強いケースが見つかったという。これら数百万円についても交際費と認定されたが、悪質な仮装・隠蔽(いんぺい)行為がないとして、過少申告加算税の対象になったという。
集英社は、週刊少年ジャンプや週刊プレイボーイ、すばるなどの雑誌のほか文庫本などを出版している。
集英社広報室の話 「今年6月に国税局の指摘を受け、自主的に修正申告をした」
(2009年8月21日 読売新聞)